Izukunzo題字画像 バス チャリ セスナ
■ izukunzo.......[安]はテキストサイト。ソーリー・ジャパニーズ・オンリー・ムッシュムラムーラ ■
時事戯言

映画戯言

芸術戯言

諸々戯言


映画戯言 第007回

世界大戦争
監督:松林宗恵/製作:藤本真澄、田中友幸/脚本:八住利雄、木村武/撮影:西垣六郎/特技監督:円谷英二/編集:岩下広一/音楽:團伊玖磨/出演:フランキー堺、乙羽信子、星由里子、富永悠子、阿部浩司、宝田明、笠智衆、他
製作年:1961/製作国:日本/時間:110分/


 戦争が起こって改めて感じたことがある。そしてそれが、不思議と頭にこびりついている。世界の国々の関係は、とても繊細で、そして張り詰めたバランスの上で成り立っているのだ。どうもそうらしい。そんなことは頭の中では、当たり前のことだとされていた。しかし、実感として感じたのは初めてだ。

 ここでそういうことの結び目をほどいていこうとすると、ものすごい時間と労力を使う気がする。なのでそれは避けたい。「そういうこと」というのは、何かを成立するためには、こういう条件が必要なのだが、しかし一方でああした現状があり、その上で行われたあの行動がこのような状況を・・・、というような今そこにあるものを成り立たせるためのごちゃごちゃしたプロセスのこと。そしてそれを分解していくことはここではやらないよ、と言ったのだ。

 それはもしかして「やれない」のかもしれない。でもやれなくもないという気もする。なんだかわかんないでしょ。いや、なんだかわかんないのよ実際。なんだろうね。緊張感があるんだかないんだかわかんない。でもはりつめた何かがあるような気だけが伝わってくる。もしかして霊?そうだ。これは霊だ。未熟な解決方法でお茶を濁して今までやってきましたアイスイマセン。

 世界大戦争と名付けられたこの作品は、1961年に封切られた。当時日本映画界はピークを過ぎたばかりであったが、それでも年間の製作本数は今じゃ考えられないくらいな本数だった。

 日本映画産業の絶頂期だった50年代の終わりごろには、2週間に1本のペースで新作が封切られるという状況で、ボリウッドもびっくりな盛況ぶりだった。

 テレビ放送は53年に開始された。50年代の終わりごろ、当時皇太子だった今の天皇と、美智子皇后との結婚報道を見るために爆発的に売れる。それを境に大衆メディアが映画からテレビへと移行していくのだが、まだまだ一家に一台というような状況ではなかったようだ。

 テレビの話題が出たついでに言っておくと、60年代に入ってテレビは超右肩上がりで売れていく。63年には日米で初めて衛星回線が開通し、アメリカのリアルタイムのニュースが放送されるようになる。その稼働日(1963/11/23)、最初に飛び込んできたニュースがケネディ大統領の暗殺(暗殺された日は11/22。日本時間だと23日の朝5:30)というのだから衝撃的である。当時の日本人は朝飯をかっ喰らいながらぶったまげたことだろう。

 テレビ普及率はその後、64年のアジアで初めてのオリンピック、「東京オリンピック」で9割にまでせまり(87.8%)、映画はどんどんしょっぱい方向へと向かっていく。60年代と、聞くとどうしても安保や高度成長なんかを思い浮かべて熱いエネルギーが動いている感じを想像してしまうが、光あるところに影あり、斜陽していく業界は当然のようにあるのだ。そういうもんなんだたぶん。

 ここで話はググッと世界大戦争に戻ってみたりする。

 東西の緊張から三次大戦の緊張が世界に走る。やっと復興して、これからという日本が再び焦土と化すかもしれない。東京に住むステレオタイプな弱い庶民の視点から、戦争と小さな幸せとのいざこざを描く。途中、庶民の描き方が通俗的過ぎて少しだるいが、ラストの大爆発後の無常観たらこの上ない。この作品で「戦争は・・・」なんて思うほど素直じゃないが、ラストにかけた特技監督円谷英二の念力は痛いぐらいにビシビシ伝わってくる。

 この映画、ラストシーンのためにあるような映画だ。爆破シーンだけでこんな感傷的にさせる映画も珍しい。戦中派は、やけっぱちの美学のようなものを抱えていると思う。花火のように「ボンッ!」と消えてしまうような、諦めに近い感覚を持っているような気がする。おそらくそれは、地震であったり戦争だったりするものが、少なからず影響を与えているのだと思うが、僕はこの感覚になにか憧れめいたものを感じるのだ。うまく説明できないが、不発弾をいつまでも大切にしている自分に苛立ちを感じているのだろう。ドカンとやってあとはさらっと消えちまうってのが美しい。な〜んかわかんねぇけど、大声が出したくなってきた。



◎ プロセス
手順、方法、過程、経過・・・そんなかんじ。

◎ 未熟な解決方法
幽霊の存在。いろいろあろうが、幽霊はいる。素直に受け取られても困ってしまうけど、いるのだからしょうがない。ちなみに僕は見たことも感じたこともない。でも、見た人がいるのだからきっといるのだ。そういうものだ。

◎ ボリウッド
インドの映画産業地帯、ムンバイ(旧:ボンベイ)のこと。当然ハリウッドのもじったもの。インドは映画産業が大きな位置をしめている。日本でもムトゥ以降、マサラムービー(インド娯楽映画の俗称)が注目されるようになる。ムトゥは観たが、それ以上他の作品を探す気分にはなれなかった。ちなみに、ムトゥの主役、ラジニカーントはバックドロップホールドの後藤達俊に似ている。

◎ ケネディ大統領
アメリカ35代大統領。ジョン・フィッツジェラルド・ケネディのこと。ニューフロンティア政策を掲げ、フロンティアスピリット大好きのアメリカを先導する。しかしテキサスを遊説中に暗殺される。ケネディ家は呪われているらしく、がんがん死にまくっている。

◎ テレビ普及率
テレビの普及率や生活水準などは電通のここに載っている。
http://www.dentsu.co.jp/trendbox/

◎ 東京オリンピック
アジア初のオリンピック。この大会は日本にとっても非常に重要な大会だったが、世界的に考えても大きな意味を持っていた。ひとつにはアフリカの独立を受けて、過去最大の参加国数を擁し、テレビ衛星中継も開始され、新しいイ時代の扉をひらくことになる。映画『東京オリンピック』では、監督市川昆をはじめとして総勢500名以上のスタッフが組織され、亀倉雄策、谷川俊太郎や細江英公、東松照明など有名どころもその中にいる。なんと103台ものカメラを使って製作されたらしい。そういえばベルリンオリンピックを撮った歴史的な記録映画『オリンピア』を授業で観た記憶がある。
http://jmdb.club.ne.jp/1965/co000750.htm

◎ 焦土
家屋などが焼けうせてしまった土地。焼け土

◎ ステレオタイプ
紋切型。型にはまったかんじ。

◎ 通俗的
俗受けする。一般向き。

◎ 無常観
仏教解釈における、万物は生滅、変化し常でないことという考え。人生のはかなさ。

◎ 特技監督
特撮技術監督。最近だと樋口真嗣が有名。円谷英二や日本沈没の中野昭慶がよく聞く名前だ。

◎ 円谷英二
特撮の神様。影響を受けた人の数は、たぶん日本の人口より多い。それぐらいすごい。この人を語らずに日本映画は語れない。本もたくさん出版されているはずだ。

◎ 感傷的
感じやすく涙もろいかんじ。センチメタルといえば、アラーキー。昔コンチネンタルブレックファーストというESP出身のグループがいたが、その後どうしたろう。

◎ 戦中派
第二次大戦の最中に青春をすごした世代。映画監督だと鈴木清順とか今村昌平、岡本喜八、深作欣二とかまだまだたーくさんいる。

もらおうドットコム
indexzone
掲示板 手紙 Izukunzo題字画像
copyright gelheadunderground All Rights Reserved since 1998