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映画戯言 第011回
贅沢な骨

監督:行定勲/プロデューサー・脚本:益子昌一/撮影:福本淳/照明:市川徳充/美術:佐々木尚/録音:伊藤裕規/編集:今井剛/音楽:朝本浩文(ram jam world)&MOKU/スタイリスト:米村弘光/ヘアメイク:勇見勝彦/スチール:北島元朗/イメージフォト:永瀬正敏///出演:麻生 久美子、つぐみ、永瀬正敏、光石研、田中哲司、津田寛治、小林美貴、川村かおり、朝本浩文、他
製作年:2001年/製作国:日本/時間:183分/制作:mouchette/配給:スローラーナー



 映画の男女はやはり橋の上で何かを決定する。橋は不安定さと、進む方向が川の両岸どちらかしかないという限定された要素を持っている。映画の中で、橋の上で出会い、橋の上で別れ、そして橋の上で決断し歩き出すシーンは、きっと山のようにあるだろう。

 ホテトル嬢のミヤコ(麻生久美子)は、純粋で傷つきやすい女。同居するサキコ(つぐみ)に、「あたしは不感症だからこの仕事できんの」と言いながら、アパートでサキコを飼っている。トラウマを抱えるサキコは、ミヤコが自分を必要としていることをいいことに、安住の籠の鳥となり外との関係を絶っていた。二人はアパートの小さな空間の中で、小さくなって暮らしている。

 そんな二人の関係に少しずつ変化が生まれる。変化が生まれなければ、なかなか映画にしにくいものだろう。不感症のミヤコは、新谷(永瀬正敏)という客に出会ったことで、はじめてセックスで満たされた気分を味わう。ミヤコとサキコの小さなアパートに、新谷が加わったことにより、やっぱり二人の関係はバランスを失っていく。

 物語はよくある三角関係の話。行定監督はわかりやすい相関関係と、本当っぽいアーバンライフを絡めることで、アパートムービーを作り出した。つまらない作品ではなかったが、なんだかマンガを読んでいるようだった。「もしかして原作はマンガか?」と思ったが、そういうわけでもないらしい。90年代以降だと思うが、都会に住む孤独な男女のホントっぽいようなウソっぽいようなふわふわしたマンガが、目に付くようになった。「贅沢な骨」はその路線を映画化したような印象で、やっぱりなんだかふわふわしている。

 ほかにもマンガっぽいと思った原因は、いくつかありそうだ。この映画だけというわけではないが、最近の映画では俳優は人を演じるのではなく、キャラクターを演じるのだ。これは同じことのようだが随分と違う。マンガは実写ではなく、人物は線で描かれる。線で描かれた情報は、あたりまえだが実写よりも情報量が少ない。情報量が少ないということは、物語をつむいでいく上でユーザーは頭を使わなくてはならないということ。それは言葉を選べば、想像する隙間を残しているということになり、だから省略されたマンガの世界ではデフォルメされ、際立って人物のキャラクターのみ抽出されているのだ。

 実写映画がマンガの流儀に従おうとすると、うまくいかない場合がある。なぜなら、俳優はそのキャラクターである前に、別の一人の人間だからだ。たとえば、同じ人物を同じように二人の俳優が演じた場合、容姿も違うが演じられた人物の持つ雰囲気も違うだろう。それは基本的に違う人間が演じるのだからあたりまえのことで、実写の面白みでもある。

 例によって突然思い出したが、人気の現代作家たち(村上隆奈良美智とか)は、キャラクターを芸術に持ち込んで話題になっている。そういうことからすると、現代とはキャラクタライズされたものをユーザーが必要としている時代なのかもしれない。もっとも、石井克人監督の作品でそういう切り口で字を書くのはいいのかもしれないが、今回は多分それは嫌味にしかならないのかなぁなんて思ってしまった。

 それに加えて、今回の作品では麻生久美子扮するミヤコの印象がとても薄い。登場人物が3人しかいない、と言ってしまってもいいぐらいの作品なので、この配役はちょっと違ったのかもしれない。3人で行った祭りで、サキコが3匹の金魚を手に入れる。それを窮屈なジューサーの中で飼うことになるのだが、3人の関係の表現の仕方としてはちょっと粗末な感じがした。行為自体は悪くないのだが、監督が「ここはそういうシーンですよ」と手を差し伸べすぎていて気味が悪い。好みの問題かもしれないが、そういうシーンはもうちょっと謙虚に見せた方が効果的なのかもしれない。

 最後に、空中を舞うホコリだか羽毛らしきものを、寝ているミヤコが飲み込んでしまうシーンは素敵だった。ああいうシーンがもうちょっとあると、作品が落ち着くのじゃないかなぁと思う。それにしても永瀬正敏はいい雰囲気を持っていると今更ながら思う。

 

◎ 麻生久美子
黒澤清監督の作品に出ていたような…。あとカンゾー先生にもこの人がいたような…。とりあえず、事務所公認のファンサイトを見っけてみた。
K/A Online
http://www.kaonline.jp/

◎ つぐみ
塩田監督の作品に出ていたような…。きれいでかわいくてエッチで、年令のわからない顔だなと。なんかいい感じ。こちらもファンサイト。
TSUGUMIX
http://page.freett.com/tsugumix/

◎ 不感症
セックスで気持ちよくならない症状をいうらしい。「らしい」にしたのは、なんか病名かどうかうさんくさかったから。婦人病とかそういう種類になるのか、はたまた男のインポテンツってやつも不感症の部類に入るものなのか、わからん。心の病気では、多感症なんて言葉もあるけれど、心の病気の種類なんだろうか。やっぱりわからん。

◎ トラウマ
阪神大震災以降、PTSD(心的外傷ストレス障害)と呼ばれることが多くなったような気がする。要は衝撃的が起こったりして、脳みその処理能力がオーバーしちゃって、画面が焼きついてしまったように、その後ずっとその人の行動に心的障害のこと。語源はギリシャ語で「傷」の意。

◎ 永瀬正敏
そういえばテレビで探偵濱マイクがやっていたとか。林海象が作ったのだろうか。公式サイトがあるようなので。
公式サイト
http://www.rocket-punch.co.jp/

◎ アパートムービー
そんな言葉あんのかよ。すっげぇ適当な言葉。“四畳半フォーク”みたいな言葉っッスね。

◎ 村上隆
現代美術作家。HIROPON FACTORYとかいう団体作っていると思ったら、いつのまにか団体の名前が変わっていた。海外で作品が4000万円とかで売れる現代美術の有名人
Kaikai Kiki
http://www.kaikaikiki.co.jp/

◎ 奈良美智
現代美術作家。むかつくガキの絵を描いたり、だらしないクソ犬の絵を描いたりする人。個人サイトでまとまってるのがいきなり見つかってビツクリすました。
HAPPY HOUR
http://www.happyhour.jp/

◎ 石井克人
「鮫肌男と桃尻女」やら「Party7」なんかの監督。アニメ大好きだったような…。個人的には映画よりCMの法がおもしろいかなぁと。

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