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映画戯言 第012回
ボクの女に手を出すな

監督:中原俊/製作:周防郁雄、長谷川安弘/プロデューサー:黒澤満、伊藤亮爾、紫垣達郎、遠藤茂行/助監督:大谷康之/脚本:斎藤博、中原俊/原作:桑原譲太郎/撮影:鈴木耕一/音楽:川村栄二/美術:中澤克巳/照明:木村誠作/編集:冨田功/
出演:小泉今日子、山田哲平、石橋凌、森下愛子、河原崎次郎、夏八木勲、他
製作年:1986年/製作国:日本/時間:95分/製作:東映、バーニングプロ、ウイングス・ジャパン




 「櫻の園」をやらないで、この作品をいじくってみようとするあたり、「映画をなんだと思ってるんざんしょ、アータは?」なんて軽蔑されますか?ウンコだねそんなヤツは。ビート監督深作山田黒澤とか、監督の名前が一人歩きしている監督ではないので、はじめに中原監督の作品をいくつか紹介。とりあえず映画マニアでもないアタクシが見たものを挙げる。

 中原監督といえばやっぱり「櫻の園」だろう。とある女子高の演劇部を舞台に、“女子”たちの感情をさわやかに切り取った良質な作品。相米監督の「台風クラブ」とともにかなりオススメできる学校モノだ。あとは「12人の優しい日本人」「Lie・Lie・Lie」「コンセント」とかもまあままステキ。「12人…」は脚本が三谷幸喜、「Lie・Lie・Lie」は原作中嶋らも、「コンセント」は原作が田口ランディ。ランディは、ネット世界の有名人だけど、プロレス界の有名人はランディ・サベージ、野球界の有名人はランディ・バース。全然関係ないけど。

 「僕の女に手を出すな」は、中原監督初の一般作品。それまではロマンポルノを撮っていたようだ。主演はキョンキョンこと岸田今日子、……嘘、小泉今日子。“ツッパリ”役のキョンキョンは、ツッパリだからやっぱり悪さばっかりしていた。そんななか、クビになったスーパーから高級酒を盗み出して警察に追われていたところを、弁護士・石橋凌に助けられる。いつもすっぱいものを食べているような顔をした石橋凌の薦めもあって、キョンキョンは大金持ちの家の跡取り息子の面倒をみることになった。だけどやっぱりうまくいかないくて、昔のツッパリ仲間が跡取り息子を誘拐してしまったからさぁ大変。事件の犯人に仕立て挙げられたキョンキョンは、ドンデン返しにつぐドンデン返しで、ラストなんかもう……あーダルい。ダルいのは物語でなく、こっちのこと。物語はとってもフツーなアイドル映画の雰囲気で、「説明メンドくさくねぇ?」ってかんじ。だから辞めちゃう。乱暴モノはやっぱし噴飯ものだねこりゃ、イッヒッヒ。

 アイドル映画といえば、なんといっても角川の牙城である。「エヘッ」っでおなじみの薬師丸ひろ子原田知世、「REX」の安達祐実なんかもそういうのかも。とにかく旬のヤツを捕まえてきて、根が変態の優しい顔した“夢のある作風”の監督にメガホンを取らせれば作品はできあがるのだ。嘘、嘘、ゴメンナサイ、ワタシニホンゴヨクワカリマセン。ちなみにアタクシ、原田知世大好き。アイドル映画万歳。

 本題に入ります。中原監督のこの映画、実はアイドル映画じゃない。物語の要素も構成も配役もとってもアイドル映画しているのだけど、実はこれ香港映画なんだ。香港映画だから、映画にまとまりがなくたって全然問題なし。

 おそらくプロデューサーはアイドル映画を作らせたかったんだろう。中原監督もそのあたりは十分わかっていて、エンディングをキョンキョンの顔で締めくくってみるあたり、アイドル映画然としている。でもね、無理やり何でもかんでも詰め込んで、てんでばらばらな感じは香港映画そのものじゃないか。ジャッキー・チェンブルース・リーだけが香港映画じゃない。もっと「ダサーイ」のがあるでしょ、あのまとまってなさは香港よヤッパリ。

 香港映画界には、“香港のスピルバーグ”というニセモノくさい通り名を持つツイ・ハークって人がいる。監督だけでなくプロデューサーをやったり、ときには出演もしてしまうボクサー顔の男だ。この監督は「ブレード」や「ドラゴン イン」なんて作品がしっかりと面白いんだけど、ジョイ・ウォン主演の「チャイニーズ ゴースト ストーリー」の方が有名。「ボクの女に手を出すな」は、ツイ・ハーク作品と金輪際因果応報煮ても焼いても全然似ていないのだけど、なんだか同じ匂いを感じる。たぶんそれは、作る側が作ることをとっても楽しんでいるように思えるからなんだ。

 中原監督は小さな世界を作らせたらうまい監督だ。だから大味なアイドル映画には不向きかもしれない。限定された登場人物で、特定の部分をこねくりまわすのが得意なようで、監督自身も「演劇好き」と言っているようなので、それはそういう風に映画に反映されている。この作品では、意に反してかどうかは知らないけど、大味で大きな枠を与えられてしまったものだから映画が落ち着かない。監督自身がたぶん落ち着いてなかったのだろう。部分的に雰囲気の異なるシーンが挿入されていて、なんだかばらついた印象だ。バラバラなものだから、妙に気になるシーンは「この部分は作ってて楽しかったんだろうなぁ」なんて楽しみ方もできる。

 ツイ・ハークの場合、作ることそれ自体が楽しくって、全編通して頭が可笑しくなってしまったようなものがある。たとえば「ロボフォース鉄甲少女マリア」とかがソレ。中原監督はそこまで突っ走る感じはなくて、もともと素養がそういうタイプでもないし、大皿に盛られた八宝菜からキクラゲだけ抜き出して食べてるようなとってもスッキリさせてくれない具合。監督自身もきっといろいろと「違った」のだろうなぁと思う。この作品の場合、「次郎長青春篇 つっぱり清水港」や「喜劇大誘拐」の前田陽一監督や、最近の人だと矢口史靖監督やアニメ「子供のおもちゃ」の雰囲気で映画化したら楽しいものになったかもな〜と。

 だ〜がしかしこの映画、キャスティングだけでも見る価値あり。小泉今日子やスッパイ顔の石橋凌のほかにも、“ミスターチンピラ”こと素っ頓狂ボイスの山田辰夫に、「家族ゲーム」の松田洋治もちょい役で出演。松田洋治は「もののけ姫」でアシタカの声もやっていたので知っている人も多いんじゃないか。ほかにもウッチャンナンチャンも出てるし、性格の悪そうな森下愛美も出演している。でもやっぱりナツヤギさ。夏八木はいい目をしてるんだ。夏八木氏はどんな役どころだっていっつも目がギラギラしていて、「何かある」って気にさせる。ラストシーンの夏八木のステキっぷりは、「やったで!オレがやったったで!」と目だけで語っていて、とっても素晴らしいのだ。

 エンディングの「木枯らしに抱かれて」は、とってもいい曲だ。だが、残念ながらこの映画の雰囲気とは全く合わない。ま、それがまた、監督がアイドル映画を撮りたくなかった結果のように思えなくもないんだけど。そういう見方もあったっていいじゃん。そんなわけでワトスン君、どうだいそろそろ食事にしようじゃないか。

 

◎ 櫻の園
その年の映画賞は総ナメだったらしい。雰囲気のある作品てのは素晴らしい。

◎ ビート監督
いわずとしれた北野武監督。「ソナチネ」は奇跡のような作品だ。
www.office-kitano.co.jp/

◎ 深作
いわずと知れた深作欣二監督。「蒲田行進曲」もこの人だったとは。

◎ 山田
いわずと知れた山田洋次監督。「男はつらいよ」見たことナシ。釣りバカは結構好き。

◎ 黒澤
世界の黒澤、黒澤トシオ。嘘、黒澤明監督。

◎ 相米監督
最近死んじゃった相米慎二監督。「セーラー服と機関銃」の監督。

◎ 台風クラブ
相米ナンバーワン作品だと思う。ちょっとドキドキしてちょっと不安で、でも楽しくて楽しくなくて胸が高鳴る中学タイフーン

◎ 12人の優しい日本人
「日本にもし陪審員制度があったら」ってシチュエーションを、ひと部屋だけで、ずーっと映画にしちゃった演劇のような映画

◎ Lie・Lie・Lie
詐欺師と写植屋、編集者が大博打をうつお話。詐欺師のトヨエツはハマリ役だ。

◎ コンセント
にいちゃんがヘンで、妹もヘンになっていって、実はみんなヘンで、なんかそんなかんじ。女優さんの裸がきれいだ。

◎ 三谷幸喜
脚本・映画・番組構成をやっている人。劇団の主宰もやってる。この人刑事コロンボとか好きみたい。

◎ 中嶋らも
いろいろやっている人。タモリクラブとかEXテレビとか良く出ていたような。
www.age.ne.jp/x/ramo/

◎ 田口ランディ
ネットから火がついて…といった感じの小説を書く人。“2”のつく掲示板とかで、盗作だなんだと騒がれていた。読んだことないので何とも言えないが、そんなこと言われちゃ倒錯しちゃうかも。

◎ ランディ・サベージ
“MACHOMAN”Randy Savage。アメプロの素晴らしきレスラー。昔はドハデで「これがアメリカか〜」なんて思ってた。得意技はエルボードロップ。全員全盛期で、ムタとサベージ、大谷シンジロウ、昔のアンダーテイカー、昔のタイガーマスク、ブル中野と北斗晶で団体作ったりしたらもう感涙。

◎ ランディ・バース
阪神タイガースの外人選手。現在は引退。確か牧場やってるはず。バース・掛布・岡田の3連続本塁打は有名

◎ ロマンポルノ
にっかつロマンポルノ。戦後の日本映画ではにっかつはパンキッシュな配給会社だったんだけど、映画が斜陽していって71年に新たな路線をうちだしたエロ映画がコレ。最近テレビに出てる井筒監督やコレ出身のスタッフや俳優はたくさんいる。88年終了。18禁だがこんなサイトもあるようだ。
www.nikkatsu-romanporno.com/

◎ 小泉今日子
あだ名はキンキン「おまっとさん!」…ではなく、キョンキョン。アイドルの歴史はこの人以前と以降で流れが変わると何かで読んだような…。でも、世代じゃないからよくわかんね。

◎ 石橋凌
すっぱい顔のミュージシャン兼俳優。ARBっつーバンドやってた。でも松田優作が死んでその意思を受け継ぐために、スッパイ顔した石橋凌は俳優業に専念するためバンド解散。最近復活しなかったか?ユニコーンのebiが加入してさ。

◎ 薬師丸ひろ子
「エヘッ、カイッカン!」のな人

◎ 原田知世
ミスターパーフェクト。世代的にはかなり離れているが、好きなタイプ:原田知世を公言してやまないワタシ。

◎ REX
角川のエラーイ人が頭をおかしくしつつ作った恐竜映画。公開中に角川のエラーイ人は気持ちの良いクスリを所持していてポリスにしょっぴかれてしまった。

◎ 安達祐実
高校時代、アダチ・ユミをアダ・チユミ。山口リエをヤマ・ロリエと読んでいる友人がいた。その人は、緒方拳をオガタ・コブシと言っていたツワモノだった。

◎ ジャッキー・チェン
カンフーの素晴らしき人

◎ ブルース・リー
ジー・クンドーの素晴らしき人

◎ ツイ・ハーク
この人の映画は基本的内容なんかどうでもいい。スカッとしてて、ドカドカドカドカドカドカッーーー!って感じで、素晴らしい監督。ワイヤーアクションが特にグッとくる。

◎ ブレード
爆裂スーパー超ウルトラ剣劇アクション。内容なんかどうでもいいから見てみろりん。

◎ ドラゴン イン
ドラゴン インという宿にまつわる爆裂スーパー超ウルトラアクションムービー。ラストシーンまでビックリだ。

◎ ジョイ・ウォン
裏街道の方々を激震した映画「北京原人WHO ARE YOU」に出演のみならずテーマ曲までうたってしまっている女優

◎ チャイニーズ ゴースト ストーリー
人間をたぶらかす中国のきれいなおばけのお話。

◎ ロボフォース鉄甲少女マリア
チャンスがあったら見て欲しいが、決してオススメできる映画じゃない。ツイ・ハークはプロデューサーとして参加したはず、ジョン・シャムが監督かな。

◎ 次郎長青春篇 つっぱり清水港
中村雅俊や島田シンスケなんかが出演している次郎長一家のお話のコメディ映画。

◎ 喜劇大誘拐
森田健作が都蝶々を誘拐してきたはいいけど、そんななにうまくいかねぇぜって感じの映画。

◎ 前田陽一
コメディ映画をたくさん作ってる監督

◎ 矢口史靖
とぼけた作風の映画監督。「ひみつの花園」はおもしろい。出身学校がいっしょだったりして

◎ 子供のおもちゃ
ドトーのいきおいのアニメ。おもしろかったなー、としみじみ。

◎ 山田辰夫
ミスター素っ頓狂ボイスの俳優。素晴らしいほどのしみったれぶりで、チンピラやらせたら誰も右に出ない。

◎ 松田洋治
家族ゲームでは長淵にどつかれたり、なんかひ弱な印象だった。が、もののけ姫のアシタカ役では「わが名はアシタカ」と男らしいいい声。現在は舞台を中心に活動しているようだ。

◎ もののけ姫
結構賛否両論あるみたいだけど、オレは好き。この編集力や構成力は実写じゃ無理なんだなぁ。

◎ ウッチャンナンチャン
レストランネタで「コーヒーください」「ジャンバラヤおひとつ」というネタがあったような記憶がかすかに残っております。

◎ 森下愛美
吉田拓郎の奥さん。性格悪そうな顔していていい。それがそのまま顔に出ているあたりが正直でいい、と言えなくもないかもしれないかも。

◎ 夏八木
男・夏八木勲。ヒゲがはえそうな役(けして生えているわけではない)をやらせたらピカいちだ。

◎ 木枯らしに抱かれて
いい歌だぜ。アルフィーのタカミザワがおつくりあそばせた曲だぜ。

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